ある製造工場様から、お困り事のご相談を受けました。
近隣住民の方から、
「工場の外に設置している室外機の運転音がうるさい」という苦情を受け、
対応に苦慮しているというのです。
工場管理の担当者は、
「建物・設備類の設計段階で、
騒音規制法をクリアする基準値になっていることを主張して退けても良いのだが、
地域との無用な軋轢は起こしたくないので、なんとか善処したい。
良い方法はないですか?」とおっしゃいます。
騒音問題は、お互いの主観で主張をしあっても解決には至らないので、
まずは科学的な騒音評価をすることが必要です。
そこで現場に出向き、サウンドレベルメーター(騒音計)で、
実際の騒音値を計測してみました。
工場の壁際に室外機が5台並んで設置されており、
確かに低周波的な運転音はしていますが、
地元自治体の騒音規制法が定める測定点(地上高1.2m~1.5mで隣地境界)で
計測して見ると、基準値以下の騒音であることが実証されました。
工場管理担当者に測定結果を報告すると、
「これで当方に落ち度がないことが証明されましたが、
それでも騒音対策に取り組んだという姿勢を見せたいのですが…」と相談されます。
一般に騒音対策には、
①騒音源の配置変更、
②防音カバーやサイレンサーの設置による騒音源そのものの抑制、
③防音壁等による騒音の伝播防御、
④騒音を吸収する吸音・遮音材質の設置
などの方法があります。
このうち、最も簡単でコストのかからない方法は騒音源の配置変更ですので、
室外機の設置場所移転を提案したところ、
工場担当者もその案でGOサインをくださいました。
その後、無事に室外機の移動工事も完了し、
工場管理担当者が、苦情を訴えていた住民の方にご説明にうかがったところ、
「騒音規制値以下だったのに、わざわざ室外機を移動してくれ誠意を見せてくれた」と、
たいへん感謝されたことをご報告くださいました。